ブッテーロで作るフラグメントケースの表側と裏側

「世界各国の男性がヌメ革を愛する理由: 時と共に深まる経年変化を楽しむ方法」

皆さんはヌメ革についてご存じですか?

使うたびに、その魅力が増してくる革、それがヌメ革。

その背後には「経年変化」という不思議な現象が存在します。

男性が年齢を重ねていくほど、頼りなさげな「若さ」は男らしい「渋さ」に変化していくかのように、ヌメ革も歳月を重ねることで、「経年変化」が進みます。

それも、それぞれが異なった経年変化を持ち、愛用者の日常生活の中で育った独自の色や輝きを見せるようになります。

経年変化は英語で「aging(エイジング)」といわれます。エイジングはよく聞く言葉ですね!

では、なぜヌメ革が世界中の男性たちに愛されるのか、その経年変化=エイジングの秘密を解き明かしてみましょう!

1. はじめに : ヌメ革の魅力と経年変化(エイジング)

1-1. ヌメ革とは何か? : その特性と製法を深堀り

ヌメ革は、その名の通り、革の一種。

一般的に植物由来のタンニン(渋の成分)をもちいて鞣された無染色の肌色の革、使うほどに色が変わる革をヌメ革と定義されています。

ブッテーロのナチュラルカラーの断面

実は同じように見える肌色の革にも2種類の鞣し方法があるのはご存知でしょうか?

  1. ピット槽を使用した鞣し
  2. ドラムを使った鞣し

ピット槽を使用した鞣しはタンニンを溶かした槽(プール)に革を漬け込んで鞣していく製法で、一気に革を仕上げるのではなく、数ヶ月の時間をかけてゆっくりと革にタンニンを染み込ませていくことで革の繊維が固く締まっていきます。

一般社団法人日本タンナーズ協会様の公式YouTubeでピット槽鞣しが紹介されています。
革を作る工程が詳細に紹介されているので是非、最初から最後までご覧ください。
(ピット槽鞣しは4分02秒〜)


もう一つの方法はタイコやドラムと呼ばれる大きな樽を使ってタンニンを染み込ませる方法。大きなドラム式の洗濯機をイメージしてもらえると分かりやすいでしょうか。

皮とタンニンを溶かした液をドラムに入れて回転をさせる、回転とたたきつけで皮に一気にタンニンを含ませて革に仕上げる方法です。

タンニンではなく、クロムを使った鞣しになりますが、ドラム鞣しのイメージは同じなのでご確認ください。(3分32秒〜)

仕上がった革は一見では同じような革に見えますが、後者は前者に比べて、繊維の詰まり方が弱い、叩きつけることで革本来の風合いを損ねるなどの違いが生まれます。

そして、その違いは経年変化にも表れ、時間をかけてタンニンを繊維の奥まで染み込ませたピット槽鞣しの革は使えば使うほどにその表情は変化します。

革が好きな方、革を扱う職人の間では「ヌメ革=ピット槽鞣しの革」と捉えるのが一般的です。

日本でピット槽鞣しを行うタンナーは数社のみ、最も有名なのが栃木レザーさんですね。

世界で見ると、イタリアのフィレンツェがあるトスカーナ地方がヌメ革の本場。

イタリア・フィレンツェの革小物売りが集う露天商
In Florence, Italy


CxC Leatherが扱うブッテーロもイタリアの伝統製法で作られる正真正銘の「ヌメ革」を使用しています。

1-2. 本物のヌメ革は品質保証タグにあり : ピット槽鞣し、ドラム鞣しの見分け方

ピット槽鞣しとドラム鞣しの違いについて、ざっと解説しました。

巷ではたくさんのヌメ革の財布やアイテムが販売されています。

どうやって本物のヌメ革(ピット槽鞣しの革)を見分けられるでしょうか?

実際に革の表情だけを見てピット槽鞣し、ドラム鞣しの違いを見極めるのは困難ですが、簡単に違いを見分ける方法があります。

それは品質保証タグの存在。

イタリアタンニン鞣し協会の品質保証タグ


イタリアには、植物タンニン鞣し革協会(PELLE CONCIATA AL VEGETALE IN TOSCANA)と呼ばれる団体が存在します。

加盟条件は、トスカーナ地方で伝統製法に基づきタンニン鞣しのヌメ革を製造してるタンナーであること。

CxC Leatherが扱うブッテーロを作るワルピエ社もこの協会に属しています。


栃木レザーさんも同じく保証タグを独自に発行されています。

栃木レザーの品質保証タグ



「手間を惜しまず、価値ある革として差別化したい」、「うちの革は本物のヌメ革だよ!」という取り組みがタンナーや協会を通して行われているので、革を扱う職人や販売会社も保証としてこのタグを取り入れています。

ただ、この品質保証タグはほとんどの場合、革の購入と共についてくるものではなく、有料の別売りとされており、CxC Leatherでは、お客様に余計な費用負担が発生しないよう、品質保証タグは財布などの高額商品のみおつけしています。

1-3. 世界の革愛用者が選ぶ、ヌメ革の特別な存在

「革」と一言で言っても、さまざまなバリエーションがあり、車の座席、ソファ、革製のジャケットといったファッションから、私たちが取り扱う財布やスマホケースなど、用途は多岐にわたります。

しかし、その中でも世界の革愛用者にとって、ヌメ革は特別な存在です。

それは「経年変化」を楽しむことができ、使うほどに風合いが増す特性に、多くの革愛用者が魅了されているからです。

これはじっくりと時間をかけて革にタンニンを染み込ませたヌメ革だけが持つ特徴です。

1-4. ヌメ革の魅力 : 美しい経年変化(エイジング)と所有者の愛情が創るアート

新品のヌメ革は素朴な色合いですが、使い続けることで少しずつ色に変化が表れ、使えば使うほど、ヌメ革特有の光沢や深みが増し、見るものを魅了します。

フラグメントケースのカードポケット ブルーとブラックの組み合わせ
使用前のブッテーロ マットな質感で張りがある
使い込んだブッテーロのフラグメントケース ブラックとグリーンの組み合わせ
経年変化をしたブッテーロ 艶が増ししなやかに

鉄が錆びる、生地が擦れる、革でもひび割れや裂傷などが起こると「劣化」と呼ばれますが、ヌメ革に関しては「経年変化」と表現されています。

言い換えると、ヌメ革はよく「育てる革」と言われますよね。

市販のヌメ革製品は、始めは微妙な差はあるものの、見た目はほとんど同じ。
しかし、時間が経つとそのアイテムは使用者のライフスタイルや手入れの方法によって独自の風合いを帯びてきます。

ヌメ革製品の最終的な表情は、8割が職人の技、2割が所有者の愛情で作られるといわれ、革と時間を共有することで生まれる「味」は持ち主にとって特別なものとなります。

これがヌメ革は育てる革と呼ばれる所以です。

1-5. なぜヌメ革は経年変化を起こすのか

ヌメ革の経年変化は、主に以下の4つの要素から成り立っています。

  1. 使用による摩擦 : 日々、ヌメ革製品を使っていると、ポケットへの出し入れなど革の表面に摩擦が起こります。この摩擦によって革は徐々に艶を帯び、色が濃くなることがあります。
  2. 自然の光(日光) :  ヌメ革は自然の光を吸収します。特に日光は、ヌメ革の色調を変化させ、経年変化を促進します。
  3. 気候や湿度 : 革は周囲の湿度や気候に反応します。高湿度や乾燥した環境では、ヌメ革の表面はさらに独特の風合いを発展させます。
  4. 手に触れることによる体温や油分 : 手に持つことで体温や皮脂が革に移ると、ヌメ革の表面に微細な変化が起こります。これがヌメ革の深みや艶を増す要因となります。

これらの要素が組み合わさることで、ヌメ革は独特の経年変化を遂げるのです。

2. ヌメ革の経年変化を楽しむ方法

2-1. CxC Leather が誇るヌメ革の世界 : イタリア伝統のブッテーロ

ヌメ革製品を受け入れる際、その魅力の中心には経年変化があります。

この変化を最大限に味わうためには、ピット槽でゆっくりと時間をかけて鞣された本物のヌメ革を選択することが肝心。

特にイタリア・トスカーナ地方のバケッタ製法により作られたヌメ革は「ヌメ革の王様」として高く評価され、その品質と色の美しさは格別です。

植物性100%のタンニンを使用し、タンナーが独自にブレンドしたオイルで仕上げられるこの革は、経年変化に特に優れたサステナブルなヌメ革として認識されています。

この製法は、環境にやさしさを持ちつつ、高品質な製品を生み出すことを可能にしています。

CxC Leatherでは、この環境を尊重しつつ、最高品質のヌメ革、ブッテーロを提供しています。

イタリア製のヌメ革の特徴として、その色鮮やかな染色が挙げられますが、その中でも当店のブッテーロはその美しさと経年変化の深さで「ヌメ革の王様」と称賛されています。

CxC Leatherでは、この最高品質のヌメ革、ブッテーロを提供しております。

2-2. 深みのある色から透明感のある色まで : ブッテーロの色の世界

ブッテーロ15色のカラーチャート

CxC Leatherで扱うブッテーロは国内では最大級の15色を展開。

染色がされていない革本来の肌色をしたナチュラルをベースに主に植物由来の染料で染色された革は、革本来の表情を残しながら色鮮やかな革へと生まれ変わります。

ここではヌメ革の色選びのポイントについてアドバイスさせてください。

◾️ 日常使いからビジネスシーンまで: ヌメ革の色選びのポイント

ヌメ革の色選びは、その経年変化の特性と用途によって異なってきます。

薄い色のヌメ革は経年変化を強く体感でき、ナチュラルやピンク、イエローなどは使用とともに飴色に近づいていくのが特徴です。

これらのエイジングを楽しむための最適な選択といえるでしょう。

一方で、薄い色は汚れが目立ちやすいというデメリットも。

そのため、汚れを気にされる方は深い色の革を選ぶことがおすすめ。

深い色の革は汚れが目立ちにくく、キャメルはチョコ色に、ブルーは光沢を増したネイビーに、ブラックは光沢ある黒へと変化します。

プライベートの財布やスマホケースには変化を楽しむ薄い色を、ビジネス用途では汚れが目立ちにくい深い色を選ぶと、ヌメ革の持つ魅力を最大限に楽しめるでしょう。

キャメルのミニ財布とブルーにターコイズベルト、ホワイトポケットがついたAndroidケース
未使用のブッテーロ
使用と共に経年変化があらわれたキャメルのミニ財布とブラックのiPhoneケース
半年使用の経年変化

◾️ ブッテーロでの経年変化の例外:ホワイトとターコイズ

ヌメ革はその色によって経年変化の特性が異なります。

特にホワイトのヌメ革は通常の染料ではなく顔料が用いられるため、その経年変化は限定的となります。

顔料を使用することで、革はまるで絵の具でコーティングされているかのような質感を持ち、通常の染められた革とは異なる特性を持ちます。

ブッテーロのホワイトとターコイズはこの顔料で染められており、経年変化を重視する方は、これらの色の選択時に注意が必要です。簡単に言えば、ブッテーロのホワイトとターコイズは、経年変化を目立たせることができない特性があると言えるでしょう。

2-3. 愛用のヌメ革アイテムを守るためのメンテナンステクニック

1.防水スプレー:ヌメ革の最大の敵は水分。革の保護のため、表面をフッ素でコーティングする防水スプレーを使用しましょう。経年変化も緩やかになりますが、特に淡い色のヌメ革には必須です

コロニルの防水スプレー

2.乾拭き:日常のメンテナンスには、乾いた柔らかい布を使用し、オイルレザーの油分を表面に浮かせるように拭きます。これにより傷も目立たなくなるので、まずは乾拭きから取り掛かってみましょう。

コロニルのクロス

3.専用ブラシでのブラッシング:定期的に専用の柔らかいブラシで革の表面をやさしくブラッシングし、ホコリや汚れを取り除きます。

コロニルのブラシ

4.クリームケア:革が乾燥している場合や油分が不足していると感じた際は、専用のクリームを使用して油分を補給します。特にブッテーロなどのオイルレザーには、過度なオイルケアは避け、必要に応じて行うことが大切。

コロニルのケアクリーム

5.高品質のメンテナンス用品:CxC Leatherは、100年以上の歴史を持つドイツのコロニル社の製品を採用。革のケアに関する詳しい情報や推奨製品はコロニルの公式HPで確認できます。

ヌメ革の美しさと耐久性を維持するため、これらのケアを定期的に行い、長く愛用しましょう。

2-4. ヌメ革の経年変化を加速させるテクニック

ヌメ革の魅力はその経年変化にあり、最大限に楽しむためには日常生活の中での使用が鍵となります。

「摩擦」、「日光」、そして「適切な保湿」は経年変化を早める3つの要素で、掛け合わせることで経年変化のスピードを早めることができます。

定期的に革に適度な油分を含ませる、適度に陽にあてる、乾いた柔らかい布で摩擦を与える、革の乾燥に注意する、これを定期的に繰り返すことで革の変化は倍速で進みます。

しかし、過度に行うことは注意。

特に日光やオイルケアは、やりすぎると革のダメージやカビの原因となりますので避けましょう。

経年変化を加速させるための最良の方法は、日常のシンプルなケアが重要で、乾拭きや適切な保湿、そして日光の適度な当て方で、革の美しさを長持ちさせることができます。

3. まとめ一緒に歳を重ねるヌメ革 あなたの旅路の始まり

ヌメ革との時間は、あなたと一緒に歳を重ねることで、ただの物ではなく、あなたの一部としての役割を果たすようになります。

使うほどに増していくその魅力と深まる関係性は、他の材料とは一線を画しています。

だからこそ、ヌメ革は「経年劣化」ではなく「経年変化」と称され、その変化を愛でる人々が後を絶ちません。

あなたもこの変化を楽しむ一人となる準備はできていますか?

ヌメ革との触れ合いやその独特な変化を体験したいなら、CxC Leatherはあなたの新しい旅路の始まりとして最適です。

当店では、色鮮やかな15色のブッテーロを始め、あなたの好みに合わせたオーダーメイド商品を心を込めて提供しています。

これからのあなたのヌメ革との物語の第一歩を、私たちとともに踏み出してみませんか?

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