革の紹介③ フレンチゴートレザー シュリー(シェーブル)
こんにちは。
久しぶりにCxC Leatherが取り扱う主力皮革について書きたいと思います。
ブッテーロ、ワープロラックスに続き、弊社の三本柱となるのがゴートレザー・シュリー(Sully)。
シュリーには別の呼称があって、シェーブル(Chevre)とも呼ばれます。
皮革業界ではシェーブル(Chevre)と呼ぶことが多いのですが、弊社ではシュリーとして扱っております。
この記事ではシュリーがどんな革なのか、どこからやってきたのか、触り心地はどんな感じなのか、詳しく解説します。
ゴートレザー = 山羊革
ゴートレザーとは山羊革のことをいいます。
表面に独特の美しい文様(シボ)があり、このシボがシュリーのトレードマークになります。
シュリーの原材料となるマドラス山羊革の繊維はギュッと詰まっていて、耐摩耗性に強い特徴があります。
摩擦に対する耐性が強いということは革自体が硬いというイメージがありますが、牛革と比べるととても柔らかいです。薄くしてもしなやかな肌触りで、弊社ではスマホケースの素材として人気を集めています。
これだけ聞くと良いとこづくしの革ですが、牛革と比べると知名度が低く、流通量は非常に少なくなります。
なぜ山羊革は流通量が少ないのか
その答えはズバリ革の面積の大きさです。
革の大きさを測る単位として、ds(デシ)があります。
1dsで10cm×10cmの正方形です。
山羊革の平均サイズは45ds程度。
牛革は半裁でも200dsを超えます。
山羊革は牛革に比べ一頭あたりからとれる革の面積が非常に小さく、作れるアイテムが限られてきます。
大きなカバンのようなアイテムになってくると2頭、3頭分の革を継がなくてはいけないため、難しくなってきます。
そのため、流通量は牛革に比べて少なく、希少性が高いことから山羊革は高級素材として扱われています。
アルラン社(Tannerie Alran S.A.S)
シュリーを作っているのは
アルラン社(ALRAN)社。
フランスの小さな町マザメ(MAZAMET)にあります。
100年以上前から良質な山羊革を輩出し、世界中のトップメゾンに供給している老舗タンナーです。
山羊革は特にヨーロッパでは貴族や修道士に愛されてきた革で、カーフレザーと並び高級素材として扱われています。
Google Mapでどこにあるのか調べてみましたが、フランス南部の深い森の美しい環境にあるようです。
白ワインで有名な「モンターニュ ノワール」といえば通な方はピンとくるかもしれません。
山羊が草を食べ、排泄物を肥料にして土に戻し、その土でブドウが育って収穫されてワインになっていきます。こうして持続可能なエネルギーの循環が活発な地にアルラン社はあるわけですね。
100%フランス産にこだわったアルラン社の伝統製法は独特です。
1枚の革に23個の工程を取りながら、丁寧に揉みこんでいきます。
揉む回数や揉む方向も決まっていて、高い基準で品質を保とうとする姿勢にアルラン社のプライドを感じます。
そんな高水準の技術から仕上がったシュリーの不均一なシボと発色の良さには品格さえみられます。
圧倒的なカラー展開
シュリーはカラーバリエーションだけでも40色以上。春夏カラーなど限定色を含めると50色を超えるとも。
どのカラーも非常に美しく、その発色の良さに目を奪われます。
CxC Leather(シーバイシーレザー )で採用するのは8色です。
エトープのようなシックな色を選べば男性にも受け入れられますし、ティファニーブルーのような色鮮やかな色は女性に好まれますし、オンオフ問わず活躍できるカラーバランス。
男女ともお気に入りの革になること間違いありません。
圧倒的な扱いやすさ
弊社が取り扱う三本柱(ブッテーロ、ワープロラックス、シュリー)はそれぞれ製造工程が異なります。
革の特徴を大きく左右するのが「鞣し(なめし)」という工程になるわけですが、表にまとめてみました。
皮革 | 製造工程 | 特徴 |
ブッテーロ | タンニン鞣し | 繊維がギュッと詰まったヌメ革に仕上がり、経年変化が生まれる |
ワープロラックス | クローム鞣し | 弾力があり、汚れや傷に強い革に仕上がる |
シュリー | コンビ鞣し | タンニン鞣しとクローム鞣しのコンビ |
タンニン鞣しとクローム鞣し。
この2つの特徴を合わせ持つのがコンビ鞣し。
シュリーはコンビ鞣しが採用されています。
ブッテーロとワープロラックスの良いどころを取った革ということです。
- 繊維がギュッと詰まった上質な革
- 美しい発色
- 天然のシボも相まって傷や汚れにも強い
- デリケート素材の中でも比較的扱いやすい
- メンテナンスが簡単
使用用途として、スマホケースなどビジネスマンやOLが使うアイテムやアイコニックな雑貨に向いています。
どんな革にするか迷ったらシュリーを
ブッテーロ(※1)、ワープロラックス(※2)でも語っておりますが、CxC Leather(シーバイシーレザー )で革を採用する基準として重視しているのは革の密度です。
シュリーも非常にキメ細かな革で繊維がギュッと詰まった最上級の革であることは間違いありません。
しなやかで綺麗なシボが特徴的な革は一見柔らかな革に見えますが、適度なコシがあり、裁断面もしっかりと詰まった革は磨き上げることで綺麗に仕上がります。
大きな経年変化がなく、汚れにも強いので、購入時の風合いをそのまま楽しむことができます。
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